能美市九谷焼美術館
|浅蔵五十吉記念館|九谷焼独創の金字塔
浅蔵五十吉の世界
浅蔵氏は、長い歴史と伝統を誇る九谷焼の流れを受け継ぎながら、意匠、技法、形態それぞれに新たな工夫を重ね、現代感覚を生かした独自の作品世界を見事に切り開きました。その歩みは、初期から雄大な自然をテーマにした色絵で一貫していますが、一つの様式を完成すると次の段階でまったく斬新な色、形、技法に挑戦するといったバイタリティーに溢れています。
浅蔵氏は自らの作品を振り返り、「10年の周期がある」という言葉を残しました。昭和20年代は明るい黄色、30年代には渋い黄色、40年代にはグリーン系が目に付き、50年代には黄色がかった複合色へと変わっていきました。そして、60年代から平成に入っては、プラチナを用いた銀彩に転じます。文化功労者顕彰と傘寿を節目に平成5年以降は「色無き色」、すなわち白釉の美へと挑戦はやむことを知りませんでした。
浅蔵氏の作品を見て強く感じるのは、一つの小成に甘んずることなく常に新しい挑戦を続け、努力を惜しまない姿勢であり、そこには一人の作家としての確固たる意志が貫かれています。
二代 浅蔵五十吉(1913~1998年)
大正2年 石川県寺井町生まれ。
小学校卒業後、父親から陶技一般を習得。
昭和3年、初代徳田八十吉氏に師事、昭和21年に北出塔次郎氏に師事して色絵技術を学ぶ。
同年の第1回日展に入選、以来連続入選。
昭和59年に県内の陶芸家として初の日本芸術院会員に就任。平成5年に日展顧問となる。
受賞歴・受章歴
昭和43年 北國文化賞
昭和52年 日展内閣総理大臣賞
昭和56年 日本芸術院賞
昭和59年 勲四等旭日小綬賞
平成4年 文化功労賞
平成8年 文化勲章受章
館内の天井は杉によるものです。
瑞鳥 飾皿年代 1960年度作サイズ 径62.5/高8.0cm
静海遊漁 飾壷年代 平成2年度(1990年度)サイズ 胴径36.5cm/高33.5cm
松林ノ憩 飾皿年代 平成3年度(1991年度)サイズ 長53.0cm/高さ8.8cm
白陽松韻 飾壷年代 平成2年度(1990年度)サイズ 胴径36.0cm/高34.4cm
松葉連ナル 飾壷年代 昭和60年度(1985年度)サイズ 胴径36.0cm/高37.0cm
残雪ノ松 飾瓶年代 平成4年度(1992年)サイズ 胴径59.0cm/高100.5cm
残雪ノ松 飾瓶年代 平成4年度(1992年)サイズ 胴径59.0cm/高100.5cm
作品と呼応するかのような天井。池原義郎氏設計による記念館は、作品が展示される空間の質を最大限に高めることで、五十吉の作品を際立たせています。